今日はこよみについて考えてみます。
日本では新暦と旧暦が存在し、約1か月違います。
東北地方の七夕(青森ねぶた、秋田竿灯、仙台七夕)などは、旧暦で行いますから、新暦の8月になってからです。
各地の行事は旧暦で行われることが多いですね。
日本で使われる暦には、太陽の運行をもとにした「太陽暦」、月の満ち欠けをもとにした「太陰暦」、太陽と月の両方を取り入れた「太陰太陽暦」があります。
古い暦と混在させて使っているのは、日本独自の文化と思います。
太陽暦とは
現在、日本を含め多くの国で使われている暦は、古代エジプトを起源とするグレゴリオ暦で、太陽の運行をもとにした太陽暦です。
地球が太陽をひと回りする周期を1年とするもので、季節の流れに忠実です。
しかし、月のめぐりとは無関係に進むので、月のめぐりに影響される潮の動きや動植物の変化がわかりにくいのが難点かもしれません。
日本で太陽暦が採用されたのは、明治6年(1873年)のことです。
それまでは、太陰太陽暦を長い間使っていました。
そこで、新しく採用された暦を「新暦」、古い暦を「旧暦」と呼ぶようになりました。
太陽太陰暦とは
日本で長いこと使われてきたのが、太陽太陰暦です。
今では「旧暦」という名前で呼んでいます。
太陰太陽暦は古代中国を起源としており、7世紀に日本に伝えられ、何度も改良が重ねられました。
太陰太陽暦には、太陽と月のめぐりの両方が取り入れられています。
月の満ち欠けをもって1か月となりますが、月が地球の周りを一巡するのは29.53日なので、12か月で354日となり、太陽暦より11日短くなります。
すると、月のめぐりだけの太陰暦では季節がずれてしまいます。
年数を重ねますと、1月なのに夏の暑さになってしまうこともあるので、日常生活の妨げになります。
そこで太陰太陽暦は32~33か月に一度うるう月を入れて13か月とし、そのずれを解決しています。
1年間で11日短くなるのですから、3年弱に1回うるう月を入れたというわけですね。
現在使われている新暦にもうるう年の適用があります。
4年に1回、2月に設けられていて、皆の知るところです。
和風月名
普段何気なく使っている1月、2月という月の名称ですが、日本では違う呼び方があることは、大体の日本人の知るところです。
数の数え方さえ、「いち、に、さん」だけではなく、「ひとつ、ふたつ、みっつ」や、「ひー、ふー、み」といった読み方を、何の疑問もなく使っています。
話を月の名称に戻します。
睦月(むつき)、如月(きさらぎ)・・・学校でも学びましたよね。
和風月名(わふうげつめい)と呼ぶ名称です。
元々は、旧暦の季節や行事に合わせたものですが、新暦を使う現代でも使われることがあります。
新暦にしても旧暦にしても、和風月名と関連付けた日本の暦(こよみ)を知っておくといいと思います。
新暦、旧暦換算表
今混在している新暦、旧暦が、実際どのような関係かと言いますと、下表にまとめましたのでご覧ください
現代では和風月名は新暦に当てはめることが普通になっています。
干支(十二支)の読み方では子丑寅(ね・うし・とら・・・)と進んでいきますが、時刻をこの読み方をするのは、時代劇などを見ますと必ず出てきます。
草木も眠る丑三つ時・・・なんて、聞いたことがありませんか?
旧暦では、月名や時刻が干支の読み方でなされたわけです。
新暦 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
旧暦 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 |
干支の読み方 | 丑月 | 寅月 | 卯月 | 辰月 | 巳月 | 午月 | 未月 | 申月 | 酉月 | 戌月 | 亥月 | 子月 |
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和風月名 | 睦月 | 如月 | 弥生 | 卯月 | 皐月 | 水無月 | 文月 | 葉月 | 長月 | 神無月 | 霜月 | 師走 |
ちょっと分かりづらいかもしれませんので、説明します。
和風月名は新暦に当てはめることが普通になっているのが前提です。
つまり子月は旧暦の1月なので新暦では12月のこと、亥の月は旧暦の12月なので、新暦ではまだ11月です。
ずれが大きく、わからいづらいですよね。
そこで、和風月名では新暦の1月を睦月(むつき)、2月を如月(きさらぎ)、12月を師走(しわす)と呼ぶようになりました。
このようにしたことでわかりやすくなり、日常の会話でも不便がなくなりました。
皐月晴れという表現も、5月の快晴を示しますが、違和感なく認識しています。
しかし、日本では古くから様々な行事を暦の日に当てはめて行ってきました。
そのため、新暦になったことで、暦と季節がずれてしまう現象も起こっています。
新暦・旧暦のずれでおこること
旧暦から新暦への移動により、旧暦の明治5年12月3日が新暦の明治6年1月1日になりました。
このため、新暦ではおよそ1か月季節が早くなります。
3月3日の桃の節句に桃が咲かなかったり、7月7日の七夕は梅雨の最中などということが起こります。
日本は柔軟な考えで動く人が多いこともあるのかもしれません。
東北の七夕の行事が8月に行われるケースをお話しましたが、しっかりちゃっかり旧暦を利用しています。
ひと月遅れで行事をしたり、旧暦の日付で考えたりする場合があるのです。
「二十四節気」と季節感のずれ
2月初めに立春を迎えます。
「暦の上では春ですが・・・」といわれても、なかなか実感がわきません。
この原因は、二十四節気が古代中国で作られ、文化の中心地だった黄河流域、今でいう華北地方の気候をもとにしていることによります。
大陸性気候と島国日本の気候では、季節感にずれが生じるのは当たり前ですよね。
もともと二十四節気は太陽の動きをもとに作られているそうです。
ですので、ずれがあっても元々の中国の風土上の違いと割り切って考えた方が良いように思います。
旧暦では、和風月名(わふうげつめい)と呼ばれる月の和風の呼び名を使用していました。和風月名は旧暦の季節や行事に合わせたもので、現在の暦でも使用されることがありますが、現在の季節感とは1~2ヶ月ほどのずれがあります。
和風月名の由来については諸説ありますが、代表的なものを紹介します。
和風月名 旧暦の月 和風月名 由来と解説 1月 睦月(むつき) 正月に親類一同が集まる、睦び(親しくする)の月。 2月 如月(きさらぎ) 衣更着(きさらぎ)とも言う。まだ寒さが残っていて、衣を重ね着する(更に着る)月。 3月 弥生(やよい) 木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる、草木が生い茂る)月。 4月 卯月(うづき) 卯の花の月。 5月 皐月(さつき) 早月(さつき)とも言う。早苗(さなえ)を植える月。 6月 水無月
(みなづき、みなつき)水の月(「無」は「の」を意味する)で、田に水を引く月の意と言われる。 7月 文月
(ふみづき、ふづき)稲の穂が実る月(穂含月:ほふみづき) 8月 葉月
(はづき、はつき)木々の葉落ち月(はおちづき)。 9月 長月
(ながつき、ながづき)夜長月(よながづき)。 10月 神無月(かんなづき) 神の月(「無」は「の」を意味する)の意味。全国の神々が出雲大社に集まり、各地の神々が留守になる月という説などもある。 11月 霜月(しもつき) 霜の降る月。 12月 師走(しわす) 師匠といえども趨走(すうそう、走り回る)する月。
和風月名は古い読み方と思うかもしれませんが、弥生や皐月を知っている方は多いですし、師走に至っては大きく認知され、万人の知るところです。
まだまだ現代でも通用しています。
四季折々の風情が伝わってきて、日本らしい自然の捉え方から生まれた月名と感じます。
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