今日は9月4日です。
先日「台風10号が上陸」したことがまだ記憶に新しいのですが、何日のことだったか覚えていますか?
8月28日頃に九州地方に上陸し、偏西風に乗れずにすごく遅い速度で四国、近畿地方、東海地方へと進みました。
9月1日には温帯低気圧変わりましたが、大雨が続くなど各地で被害が出ています。
日本には古くから「二百十日」と「二百二十日」という気象の区切りを表す言葉があります。
お聞きになったことがあるかと思います。
昔の人の言い伝え?
迷信と思いがちですが、理由があってのことのようです。
この10号も上陸したのが二百十日前後。
今日は「二百十日」と「二百二十日」について考えてみようと思います。
「二百十日」と「二百二十日」とは
二百十日(にひゃくとおか)と二百二十日(にひゃくはつか)は、日本の暦において特に重要視される日です。
毎年、立春から数えてそれぞれ210日目と220日目にあたる日のことを言います。
これらの日は、農業や気象に関する観点から、特に台風の発生が多い時期とされ、古くから「厄日」として知られてきました。
日本は季節の移り変わりが豊かであり、四季折々の風物詩や行事が生活の中に深く根付いています。
季節の移り変わりをより的確につかむために設けられた特別な暦日をのことを雑節(ざっせつ)といいますが、「二百十日」は9つある雑節のうちのひとつです。
- 節分
- 彼岸
- 社日
- 八十八夜
- 入梅
- 半夏生
- 土用
- 二百十日
- 二百二十日
それぞれの雑節は、日本の文化にしっかり根付いていますから、ご存じの方も多いと思います。
その中でも、二百十日と二百二十日は、特に農家にとって大切な日とされています。
昔からこの時期は台風が発生して農作物の収穫を妨げることが多いためです。
台風の襲来に備え、過去の経験から知恵を絞り、災害への備えを万全にすることで、農作物を守り抜くことが求められてきました。
この記事では、これらの伝統的な日が現代においてもどのような意味を持ち、どのように対策が取られているのかをお話しようと思います。
二百十日と二百二十日の意味
先に述べたように、二百十日と二百二十日は、立春からそれぞれ210日目と220日目にあたる日です。
主に農業や気象に関連して特別な意味を持ちます。
二百十日は9月1日頃、二百二十日は9月11日頃に当たり、どちらも台風の発生が多い時期と重なるため、古くから「厄日」として恐れられてきました。
この時期は稲作にとって非常に重要な時期であり、台風が稲の生育や収穫に大きな影響を与えることから、農家にとっては一番の懸念材料となります。
二百十日には「風の神様」に対して風鎮祭(ふうちんさい)という祈祷を行い、台風から作物を守るよう祈願する風習が広く行われていました。
二百二十日も同様に、台風による被害を避けるための様々な祈りや祭りが行われました。
このように、二百十日と二百二十日は、日本の農業と気象の歴史に深く根ざしており、現代に至るまでその重要性が継承されています。
現代では科学的な気象予測が進んでいますから、意識しないでも気象状況は分かります。
ですが、これらの日が持つ伝統的な意味は今も農家の間で大切にされています。
台風と災害のリスク
二百十日と二百二十日の時期は、台風の襲来が特に多くなるため、気象災害のリスクが高まる期間とされています。
日本は太平洋に面しており、夏から秋にかけて台風が頻繁に発生しますが、特に9月初旬から中旬にかけては、多くの台風が日本列島に接近する傾向があります。
これが二百十日と二百二十日が「厄日」として恐れられてきた理由です。
台風は強風や豪雨を伴い、広範囲にわたって甚大な被害をもたらします。
特に農作物に対する影響は深刻で、稲や果樹、野菜などが風によって倒されたり、雨による洪水で流されることがあります。
また、台風がもたらす長時間の雨が地盤を緩め、土砂崩れや洪水のリスクを高めることも少なくありません。
歴史的に見ても、二百十日や二百二十日に大きな台風が襲来し、甚大な被害をもたらした例は数多くあります。
たとえば、昭和19年(1944年)の東南海台風や平成15年(2003年)の台風14号などは、この時期に大きな被害を与えた台風として知られています。
これらの災害は、農家だけでなく広く社会全体に影響を及ぼし、二百十日と二百二十日が持つ不安感を一層強めました。
台風の発生とその被害は、今でも日本にとって重要な課題であり、特にこの時期は警戒が必要です。
農作物への影響
二百十日と二百二十日は、台風の襲来によって農作物が深刻な影響を受けやすい時期として知られています。
この時期、稲作では稲の穂が出揃い、まさに収穫に向けた大事な段階に入っています。
台風が襲来すると、強風で稲が倒れてしまい、収穫量が大幅に減少するリスクが高まります。
また、豪雨による水害も農地を浸水させ、稲の根腐れや病害虫の発生を引き起こす要因となります。
今、巷では「令和の米騒動」と言って、市場からお米が消え、コメ不足の減少が起こっています。
新米が出るまでの辛抱かと思っていますが、台風などで収穫が減少しますと、解消されない事態も考えられます。
消費者にとっても深刻な問題です。
果樹農家もまた、この時期の台風には特に神経を使います。
台風による強風で果実が木から落ちたり、枝が折れてしまったりすることで、大きな損失を被ることがあります。
特に台風の直撃を受けた地域では、収穫前の果実が全滅することもあり、これが農家の生活に深刻な打撃を与えるのです。
私は山梨県に住んでいますが、ブドウ農家の強風での被害には例年心を痛めています。
さらに、野菜やその他の作物も、台風の影響を避けることは困難です。
強風で葉が傷ついたり、豪雨で畑が水浸しになったりすることで、収穫が難しくなる場合があります。
これにより、供給不足による価格の高騰が発生し、消費者にも影響が及ぶことになります。
このように、二百十日と二百二十日に台風が直撃すると、農作物に多大な影響を与え、日本の農業全体に大きなダメージを与える可能性があるため、この時期の天候には常に注意が必要です。
災害対策と現代の取り組み
二百十日と二百二十日が農業において重要な時期であることはお分かりいただけたでしょうか。
台風による被害を最小限に抑えるためには、効果的な災害対策が不可欠となります。
伝統的な風鎮祭などの祈願行事を否定する必要はないのですが、それだけでは不十分なことは誰もが知っています。
現代では技術の進歩により、より科学的で実効性のある対策が取られています。
気象予測技術の向上
まず、気象予測技術の向上が挙げられます。
気象庁や民間の気象予報会社が提供する詳細な台風進路予測により、我々一般人や農家は事前に台風の接近を把握し、早期に対応を取ることが可能になりました。
また、スマートフォンやインターネットを通じてリアルタイムで情報を得ることで、迅速な対応が求められる状況にも即座に対応できます。
農作物を守るための物理的な対策
さらに、農作物を守るための物理的な対策も進んでいます。
例えば、果樹園では防風ネットや支柱の設置が行われ、台風による果実や枝への被害を軽減する工夫がされています。
また、稲作においては、品種改良によって風に強い稲の品種が開発されるなど、災害に強い農作物の育成が進められています。
また、災害保険や補助金制度もあります。
これによって、農家が台風などの自然災害による損害を補填する仕組みが整えられています。
災害後の経済的なダメージを軽減し、農業の継続が支援されているのです。
これらの対策を通じて、二百十日と二百二十日における台風のリスクを減らし、農作物を守る取り組みが現代でも進化を遂げています。
古くからの知恵と現代の技術が融合し、これからも農業を守り抜くための努力が続けられていくことと思います。
何しろ相手は自然。
破壊力はすさまじいものがあります。
農作物が心配だからと、強風の中見回りに行って事故にあい、一命を落とす方が例年何人かいます。
侮らないようにしたいものです。
雑節のひとつ、「二百十日」と「二百二十日」は、迷信ではなく根拠のある暦日だったと言えます。
ただ、その日どんぴしゃりに上陸するのかと言いますと、もちろんそうではありません。
9月は台風の上陸が多く、例年被害が出ますから、災害に注意をする戒めの気持ちを持って、この雑節を覚えておきたいものです。
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