味噌汁・・・食べたことのない日本人は(0歳児を除いて)ほとんどいないのではと思います。
実にシンプルなスープです。
短時間でできますし、美味しいです。
市販の味噌やだし(急ぎの時はだしの素)を使い、ありあわせの具材を入れて煮るだけ。
もっと手軽さを求めるなら、フリーズドライのインスタント味噌汁も人気で、お湯をかけるだけです。
でも、味噌汁は奥が深いのもご存じと思います。
だしや味噌、具材によって味わいが違います。
今回は味噌の種類、だし、具材の組み合わせ方など、家庭で味噌汁をより美味しく作るための豆知識をお話しようと思います。
味噌汁に使われる味噌の種類と特長
味噌汁というのですから、まずは味噌が決め手。
今更かもしれませんが、どんな味噌があってどんな特徴があるのかをお話します。
ご自分の知識を確認する意味で、軽い気持ちでお読みください。
赤味噌
赤味噌は、大豆を長期間熟成させて作られるため、濃厚な味わいと深いコクが特徴です。
赤味噌は大きく米味噌と豆味噌に分かれますが、麹菌の種類によって、米麹味噌、麦麹味噌、豆麴味噌と分類しても良いと思います。
麹を使った味噌には、消化を助ける酵素や、腸内環境を整える乳酸菌が含まれており、健康に良いとされています。
また、ビタミンやミネラルも豊富で、免疫力の向上や美肌効果も期待できるようです。
発酵食品として、長い間日本の家庭で使われてきました。
米麴味噌
米麴味噌は米麹を使った味噌で、甘みもあって、まろやかな味わいが特徴です。
関東以北で作られることが多く、信州味噌などは有名ですね。
麦麴味噌
麦麹を使った味噌で、香ばしい風味があり、九州地方でよく使われます。
豆麴味噌
豆麹を使った味噌で、濃厚な味わいが特徴です。
特に愛知県を中心とした東海地方で生産されており、「八丁味噌」や「名古屋味噌」としても知られています。
白味噌
白味噌は発酵期間が短いため、甘みがあり、柔らかい風味が特徴的です。
赤味噌のように濃い色ではなく、ベージュがかった色をしています。
関西地方でよく見られ、冬の季節にはお正月料理としても親しまれていますよね。
合わせ味噌
合わせ味噌とは、麦味噌と米味噌など麹の種類が違う味噌や、産地の異なる味噌を混ぜ合わせた味噌のことです。
今風に言いますと、ブレンド味噌。
それぞれの良さを引き出すようにブレンドして、家庭の味として用いるのもいいですね。
始めから合わせ味噌として販売しているものもあります。
味噌の種類によって、同じ具材でも風味が大きく変わり、バリエーションを楽しむことができます。
ぜひいろいろな味噌を試して、自分好みの味噌汁を作ってくださいね。
味噌汁のだしの取り方
味噌汁の決め手のもう一つは出汁(だし)です。
良いだしを取ることで、味噌の風味がより一層引き立ちます。
ここでは、代表的なだしの種類と取り方を簡単に説明します。
昆布だし
昆布は、グルタミン酸という旨味成分を豊富に含んでおり、まろやかな旨味を味噌汁に与えます。
用意する昆布は、真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布などです。
好みで選びますが、煮昆布用と表示されているものはだし用には向きません。
分量の目安は水1リットルに対して10~20グラム。
そこはあまり正確にしなくてもいいと思います。
10㎝ぐらいかな・・・
水につけて固く絞った布巾やキッチンペーパーなどで、表面を軽くふきます。
表面に白い粉が付いていますが、白い粉はマンニットという、うま味成分です。
ごしごし水洗いするとうま味成分まで流れ出してしまいますので、軽くふくだけにします。
昆布だしを取る際は、水にしばらく(30分程度)つけておきます。
その後火にかけますが、水からゆっくりと加熱し、沸騰直前で取り出すのがコツです。
沸騰させると昆布の粘り気が出てしまい、風味を損なうことがありますので、火から離れず注意して沸騰直前を見極めて火を消します。
私は取り出した昆布を佃煮にしたり、二番出しを取ったりと活用しています。
かつお節だし
かつお節にはイノシン酸という強い旨味成分が含まれていて、力強い風味が特徴です。
分量は味噌汁4杯分(800ml)に対し、鰹節(削り節)が約30gとなっています。
鍋に水を入れて沸騰させて火を止めます。
削り節を入れて1~2分置きます。
ボールとザルを用意し、ボールにザルを重ねます。
ザルにはキッチンペーパーか布を敷き、ゆっくり濾します。
これが一番だしです。
だしがらに水をはって、もう一度煮出したものが二番出しとなります。
急ぐときには、ゆっくり濾してはいられなかったり、栄養としてカツオも体に入れたいと考え、私は「カツオ粉」をよく使います。
削り節の粉なので、そのまま入れるだけ。
案外コスパが良いので、ヤマキのカツオ粉をいつも使っています。
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家庭の味噌汁のカツオだしで、顆粒のだしの素を使いたくない時や、だしの素の補助で使って風味を味わいたいときなど便利です。
いりこ(煮干し)だし
いりこだしは、魚の旨味が凝縮されていて、風味豊かで濃厚な味わいが楽しめます。
イワシの煮干しでとるだしのことを言います。
煮干しの頭と、腹の部分にある黒いワタを取り除きます。
これをやりませんと、生臭くなってしまいますから、面倒でも取ってくださいね。
だしに香ばしさが欲しい時は、下ごしらえをした煮干しを油をひかずにフライパンで軽く煎るといいです。
昆布だしと同様、はじめは30分ぐらい水につけておきます。
煮干しが水を吸って柔らかくなったら、火にかけます。
昆布だし、カツオだしと違うのは、沸騰しても火を止めずにそのまま弱火にして5~10分ほど煮出すこと。
その際アクが出ますから、丁寧に網で掬い取ります。
カツオだしと同様に、ボールとザルを用意し、キッチンペーパーを敷いて濾します。
強く濃厚な味になりますから、ファンも多いと思います。
カツオ粉と同じように、煮干し粉もあります。
家庭の味噌汁で、だしの素を使いたくない時や、だしの素の補助で使って風味を味わいたいとき、煮干しの栄養(カルシウムやタンパク質など)をそのまま取りたいときなど便利です。
ポピュラーなだしを3種ご紹介しました。
これらのだしは、味噌の種類や具材によって使い分けるのが理想ですが、複数のだしを合わせて使うことで、より複雑で深い旨味を出すこともできます。
だしの取り方次第で、味噌汁の味が大きく変わるのでいろいろ試してみると良いと思います。
ちなみに、どうしても忙しい時や経済的な理由などで「だしの素」を使うことが多いかと思います。
それはそれでいいと思います。
けっこういいお味のだしになっていますから。
味噌汁の具材と美味しい組み合わせ方
味噌汁は、具材の選び方次第で無限にバリエーションが広がります。
季節や好みに応じた具材の組み合わせで、毎日飽きずに楽しむことができるのが味噌汁の魅力ですよね。
ここでは、定番の具材や美味しい組み合わせ方について書いてみたいと思います。
私見ですので、「参考までに」という感じです。
何しろ具材は無限にありますから・・・
朝に食べたい軽い味噌汁
朝が和食でしたら、用意したいのが味噌汁。
朝は忙しいですから、調理に手間をかけず、味も軽いものがおすすめです。
豆腐とわかめの味噌汁
年中売られている豆腐は、味噌汁に欠かせない具材としても活躍します。
豆腐は淡白で柔らかな食感を持ち、味噌との相性が抜群です。
わかめは海藻類の中でも旨味が強く、豆腐の滑らかさを引き立ててくれますし、栄養的にも野菜の代用品として使えます。
この組み合わせは、味噌の種類を選ばず、どの味噌とも相性が良いので人気ですね。
私はこれに油揚げを入れて作ることが多いです。
わかめの水戻しに時間がかかるから朝はちょっと・・・という場合は、乾燥したカットわかめを使ってみましょう。
薬味のようにお椀に入れて、味噌汁を注ぐだけで、美味しいわかめ入り味噌汁の出来上がりです。
なすと油揚げの味噌汁
なすは味噌汁にしますと、じんわりと味噌の風味を吸い込み、柔らかな食感が楽しめます。
油揚げは、適度な油分が味噌汁にコクを加え、なすとのバランスが絶妙です。
この組み合わせは、赤味噌や合わせ味噌との相性も良く、味噌を選ばず作れるのがいいと思います。
なめこの味噌汁
なめこは袋に入って野菜コーナーで売られています。
使う時はざるにあけ、さっと水を通して水洗いして使います。
豆腐やネギを組み合わせてもおいしいです。
鍋のだしが沸騰したらすぐに入れ、時間を置かずに味噌を解き入れます。
なめこはぬるぬるしていますから、そのまま味噌を入れたのでは味噌がだまになったままという悲劇が起こりがち。
あらかじめ少量のだしで味噌を溶かしておくか、味噌漉しの網に入れて濾しながら溶かします。
ぐつぐつと長く煮ない方がおいしく出来上がります。
もやしとわかめの味噌汁
もやしは野菜の中でも価格が安いことと、年中手に入ることから、コスパの良い具材です。
わかめと合わせて朝手軽に作れますので、便利ですし、美味しいです。
あさりやシジミなど貝の味噌汁
あさりやシジミはそれ自体からおいしいだしの旨味が出てきますので、手軽に作ることができます。
ただ、砂抜きはきっちりしていませんと、ざらざらと口の中に残りますから、食べる前に薄い塩水につけて、砂を抜くようにしましょう。
昆布だしを使っておいしくいただくのがベストかとは思いますが、砂抜きしたシジミを鍋に入れ、水をはって中火か弱火で煮るのが簡単です。
沸騰するころには出来上がっていますので、味噌を解き入れていただきます。
あさりは、さまざまな栄養素を含んでいますが、特に多いのがビタミンB12・カルシウム・カリウム・鉄・亜鉛などです。
またシジミもあさりと同じでビタミンB群やミネラル類を多く含んでいます。
シジミは鉄分やオルニチン、タウリンを多く含んでいることも知られていますから、お酒をいただいた日の翌日に肝臓をいたわる意味で、シジミの味噌汁をいただくのは、理にかなっていると思います。
夕食に食べたい濃厚なしっかりした味噌汁
野菜や魚などが入ったしっかりした味噌汁は、夕食の煮物代わりの1品としても重宝します。
けんちん汁や豚汁、アラ汁など、それだけでご飯が進むのが魅力的。
根菜の組み合わせで作る具だくさんの味噌汁
大根と人参のような根菜の組み合わせも人気です。
大根のシャキシャキした食感と、甘みのある人参の相性は抜群で、具だくさんの味噌汁を作りたいときにはぴったりです。
レンコンやゴボウを入れてもおいしいです。
特に寒い季節には、体を温める効果も期待できますね。
豚汁
根菜の味噌汁をベースに、豚肉などの具材を入れて作る豚汁は、好きな方が多い味噌汁と思います。
具材は豚バラ肉、ゴボウ、大根、こんにゃく、人参が基本ですが、好みでキノコを入れてみたり、レンコンを入れてみたり、油揚げやサトイモなどを入れて、具だくさんでいただくと美味しいです。
魚のアラを使った濃厚な味噌汁
魚を三枚に下ろした場合などに骨などのアラが残ります。
それを軽く塩を振って水洗いしてから、味噌汁のだしとして活用しますと、濃厚で美味しい味噌汁が出来上がります。
冬に美味しいワタリガニの味噌汁
蟹は冬場に美味しいのですが、毛ガニ、ズワイ蟹、タラバ蟹、花咲蟹などは高価なので、庶民にとっては日常に食するのは難しいです。
庶民の味方の蟹はワタリガニ。
これならスーパーでも安く手に入ります。
足が細いですし、身を食べるには物足りないですが、濃厚な良いだしが出て、蟹の味を味わえますから、鍋や味噌汁にうってつけです。
美味しく作る方法が載っていましたので、ご紹介します。
材料(2人分)
ワタリガニ / 1杯
水 / 700cc
酒 / 大匙2杯
味噌 / 大匙1杯
葱 / 1/4本
レシピを考えた人のコメント
海辺の旅館、お宿のお味、がっつり豪快の旬の蟹の味噌汁です。
画像を見るだけでも美味しそうですね。
つみれ団子汁
魚を三枚に下ろし、皮をはいで細切り。
たたいて、生姜と小麦粉少々を入れてすり合わせます。
こうしてつみれを作り、それを味噌汁の具にしますと、大変美味しいです。
市販のつみれを使っても、美味しいですよ。
冬はおでんの具材としてつみれが売られていますので、それを活用してつみれの味噌汁を作りますと、手軽ですし良いお味になります。
まだまだいろいろあります。
冷蔵庫に眠っているものや乾物(高野豆腐、切り干し大根、かんぴょうなど)も立派な具になりますから、難しく考えずに利用しましょう。
また、季節感を感じる具材も良いと思います。
春なら菜の花や山菜、秋にはサツマイモやキノコ類など、旬菜の利用で季節を楽しむことができますから。
味噌汁の薬味
味噌汁をさらにおいしくする万能のもの・・・それは薬味です。
薬味は味噌汁の仕上げに使います。
辛みや香りを添え、味噌汁を極上の味にしてくれるものです。
薬味の入れ方
種類によって、煮えばなに鍋に入れたり、先にお椀に入れて味噌汁を注いだり、お椀に盛った汁の上に散らしたりします。
いずれにしても、お椀のぬくもりを確かめながら一口すするときに、味噌の香りと薬味の香気が合わさって、味噌汁のおいしさを高めてくれます。
味噌汁の薬味種類
毎日の味噌汁ともなれば、薬味と言え高価なものを使う必要はありません。
香りが出りものなら、何でもよく、ありあわせのものを使います。
代表的なものは、ネギ、アサツキ、生姜、大葉、みょうが、三つ葉などです。
・ネギ・アサツキ 細かく刻んで、味噌汁にさっと加えると風味が増します。
・生姜 千切りにして加えると、温かみと香りがプラスされます。
・大葉(しそ)千切りにして、仕上げにのせると爽やかな香りが楽しめます。
・みょうが 薄切りにして加えると、独特の風味が味わえます。
・三つ葉 ざく切りにして、彩りと香りを添えます。
基本の味噌汁の作り方
味噌汁はシンプルな料理ですから、手順と言ってもご存じの方が多いと思います。
だしをとり、具材を用意し、だしで煮て、味噌を入れる
これだけです。
すでにだしの取り方についてはお話しましたから、だしについてはそれを参考に作ってみてくださいね。
また、市販のだしの素を使っても簡単にできることはお話した通りです。
具材によって、最初に入れてじっくり煮た方がいいのか、だしが沸騰してから入れた方が良いのかが違いますが、根菜などの煮えにくいものは最初から、豆腐や葉物野菜などは後から加える方が良いです。
煮込み料理ではないので、煮込みすぎに注意しましょう。
具材に火が通ったら、火を弱めてから味噌を入れます。
味噌はお玉に適量取り、だしの中で少しずつ溶き入れていきます。
直接鍋に味噌を加えると、うまく溶けずにダマになることがあるので注意が必要です。
なめこやジュンサイなどのぬるぬるした具の場合は、網杓子に味噌を入れ、箸などでかき混ぜながら溶き入れますと失敗がありません。
溶けたら、鍋全体に味噌が行き渡るように軽くかき混ぜます。
味噌が完全に溶けたら、沸騰する前にすぐ火を止めてしまいます。
ここは大事。
味噌は沸騰させると風味が飛んでしまうため、仕上げは慎重にしてください。
味を見て足りなければ、少量ずつ味噌を加えて調整することも構いません。
しょっぱかったからといって、水で薄めますと、少量だとしても水っぽく薄い残念な味になってしまいます。
水ではなく、だしで薄めますと失敗がありません。
まとめ
味噌汁は日本の食卓で長年愛され続けている定番の料理です。
味噌の種類やだしの取り方、具材の選び方次第でその魅力はさらに広がっていきます。
赤味噌、白味噌、合わせ味噌といった味噌の違いを知り、昆布やかつお節、いりこを使っただしの取り方を工夫することで、いつもの味噌汁が一段と美味しくなります。
また、具材の選び方や季節に応じた組み合わせを試すことで、無限にバリエーションが広がり、飽きることがありません。
是非これまで以上に奥深い味噌汁作りを楽しんでほしいと思います。
毎日食べても飽きない味噌汁は、まさに日本の心の味。
日本だけのスープです。
忙しい時は、だしを取る手間を省いたり、用意しやすく煮えやすい具を選んで、肩の力を抜いて作ってくださいね。
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